長田神社とは

病気平癒の信仰
-楠宮稲荷社の御神木と赤えい-

絵馬

ご祈祷・ご祈願

古伝によると…
6世紀頃の初秋、繁殖の為に岸辺近くに寄ってきた赤えいの群が、夜の台風による暴風雨で増水した苅藻川を溯り、水に浸かった境内に入ってきました。
近在の人がこれをみつけ、捕獲しようと後を追ったところ、御神木「楠」の付近で見失ってしまったのです。
人々は「きっと赤えいは神様の化身にちがいない」と語り合い、以来この御神木「楠」は、神の化身「赤えい」の宿る処として「長田神社摂社・楠宮稲荷社の御神木」と崇敬されてきました。

昔も今も、赤えいは、瀬戸内海に多く棲んでおり、その繁殖期は夏の終わりから秋の初めとなります。 当時漁によって多量に得られた赤えいは、安価で貴重な蛋白源であり、今の牛肉にも匹敵するものでありました。
人々はこの美味で貴重な赤えいを食べることを断って、諸願を掛けて祈っていましたが、その内、腫物(できもの)、特に痔疾(じのびょうき)に効き目があるとの評判が高くなり、広く信仰されてきました。

絵馬奉納の始まり

明治25年(1892)頃、楠宮稲荷社の井戸の傍らで茶店を営み、放し飼いの鶏(長田神社の神使)の餌の大豆を売っていた谷本もんと云うお婆さんがいました。
その方が、細長い尾の先端に毒のある棘(とげ)を取り除いた赤えいを書いた絵馬を作って、参拝者の願掛けに勧めたのことが始まりとされます。

茶店は大正13年(1924)の火災で消失し、以来神社が引き継いで授与をはじめ、今日に至っています。

赤えい絵馬に、年令、干支、男女別を書き 御神木周囲の透垣に掛けて祈願します。
あらゆる病気に効験があるとの深い信仰がありますが、先述のように痔疾平癒の祈願で遠方からもお参りされる方が多いです。
また、社頭では絵馬の他に赤えいの「懐守り」も授与しています。 可愛らしい赤えいのお守りを財布などに入れておられる方もたくさんいらっしゃいます。

長田神社は昔、入江に流入する苅藻川の河口の上流、北に約550㍍程の川中の中州、旧字名中島の楠等の照葉樹林が繁る杜に鎮座しています。
(現在は入り江から2.5km程はなれています)