ご祈祷・ご祈願
古伝によると…
6世紀頃の初秋、繁殖の為に岸辺近くに寄ってきた赤えいの群が、夜の台風による暴風雨で増水した苅藻川を溯り、水に浸かった境内に入ってきました。
近在の人がこれをみつけ、捕獲しようと後を追ったところ、御神木「楠」の付近で見失ってしまったのです。
人々は「きっと赤えいは神様の化身にちがいない」と語り合い、以来この御神木「楠」は、神の化身「赤えい」の宿る処として「長田神社摂社・楠宮稲荷社の御神木」と崇敬されてきました。
昔も今も、赤えいは、瀬戸内海に多く棲んでおり、その繁殖期は夏の終わりから秋の初めとなります。 当時漁によって多量に得られた赤えいは、安価で貴重な蛋白源であり、今の牛肉にも匹敵するものでありました。
人々はこの美味で貴重な赤えいを食べることを断って、諸願を掛けて祈っていましたが、その内、腫物(できもの)、特に痔疾(じのびょうき)に効き目があるとの評判が高くなり、広く信仰されてきました。